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張り詰めた空気
淀んでしまった空
赤く流れる血
何もかもが
灰に溶けてしまいそうで
怖くて
動けない
動いてはいけない


第四章 「侵入」


シンプルな建物を見つめ灯は言った

「ここかぁ・・・」

「やっぱり・・・シンプルだね・・・」

と、クロ。

「シンプルだったから見つけやすかっt」

「よし、取り合えず行くぞ」

灯が割って入る

「あ、ってめコラ!!人が話してるってのに!!!」

「はいはい、とりあえず入りましょうよ」

「チッ」

氷に引きずられて入るクロノ

ギィ・・・

開けた先は、暗く、一つの間になっている。
さらに真直ぐ行ったところにぽつんと、ドアが一つ。あるだけだった。

沈黙に包まれる彼等。
ピンと張り詰めた空気が背筋を凍らせ、動けない。
否、動いてはならない気がした。

「随分・・・暗い部屋ですね・・・」

沈黙を絶ったのは氷。

「音が反響するな・・・」

それを拍子に建物の造りを調べるクロノ。
暢気に動き出したのは灯。

「よーし!とりあえず進もうぜ」

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」

それを慌てて止める氷。

「なんでだよ」

「なんでって・・・怖くないんですか?!」

「全然?」

「いや・・・そうだろうとは思いましたけど・・・」

「じゃあ行こうぜ」

「急がなくてもドアは逃げねーっつーの、馬鹿が」

クロノが軽くつつく

「キーッ!!身長が大きい事をいいことに!クソーッ!!」

「まぁまぁ・・・」

「あの、喧嘩中申し訳ないんですけど」

クロが割ってはいる

「敵がかなり・・・」

「Σえ??!!」

「何ッ?!!」

後ろを見ると敵に囲まれていた
ざっと見て1000匹は超えているだろう。

「どうする・・・」

皆は顔を見合わせる

「此処は俺等が引き受けるよ」

口を開いたのは蘇芳。
後ろで魁道が眠そうに立っている。

「蘇芳・・・お前・・・」

「悪ィなクロノ、お前とは此処でサヨナラだ。分かったらさっさと行け」

笑顔できっぱりという

「全員で戦ってちゃ埒があかない。この中の殆どが感染するよりは、俺等だけの方が被害は少ないだろ?」

「・・・・そっか」

クロノは俯き、しばらくしてから顔を上げる

「分かった、じゃあ俺等は行くよ」

「そーこなくっちゃな!」

「嗚呼、その代わり」

「その代わり?」

「絶対生きてまた、会おうな」

「そうだな!感染して無かったらの話だけどな!はっはっは!」

これから死ぬかもしれないというのに、彼はクロノ達に笑顔を向け、寂しさも悲しさも笑い飛ばした

別れの会話をしているうちに敵は迫り、量も増えてきた

「おっと、このままじゃ俺等がキツくなっちまう。ほら早く行け!」

クロノ達をドアに押し込む。

「じゃーなっ!」

最後の最後まで彼は笑顔で手を振っていた。

クロノ達がドアの向こうに行った後、振り向くと敵はもう数え切れないほどになっていた。

「クロノと約束したけど・・・果たせるかな・・ははは!魁道、行くぞ!」

「へいへい」

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