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普通は誰だって、"特殊"だの"異質"だの
所謂"平凡"、ではなく"非凡"を求めるだろう
普通は、皆一度は夢見るものだ
自分が特別な存在であることを

だが、それはただの願望に過ぎない
何も分かっていない
"異質"である苦しみを
他人から羨まれるなど、決して無い
虐げられ、疎まれ、災厄の元凶だとまで言う

幼い時から異質であった俺に対する周囲からの仕打ちは、酷なものだった
当然の事ながら友達など、出来るはずが無かった
どこへ行っても陰口、目を合わせようものならば、石を投げる勢いだった

だから俺は、誰にも負けない程の強さを求めた
馬鹿にするような奴らは、文句が言えなくなるまで叩きのめす
それが例え大人であろうとも

唯一俺を庇護してくれた両親は、年の離れた兄が殺した
兄さえも、俺を憎んでいたのだろうか

やがて更なる強さを求め、帝國軍に入った
最初は年齢が達していないという理由で許可されなかったが、他に行く当てが無かった

孤児院は俺が出ていくと聞くと、何の躊躇いもなく早急に手続きをした
心の中では喜びに浸っていただろう
正に厄介払いだ

軍に入ってしばらくした頃、兄が俺を探しに来た
兄は違法実験ばかりしている化学集団に所属していた
兄は異質な俺を実験対象にと考えていたようだ
だから軍から脱退し、身を隠す様に、寂れた街を点々とした

人類は滅んだに等しい
愚かな争いで自らを滅ぼした
その名残が俺らの生活に今も残っている
発展こそ遅いが、着実に、人間にほど近い生活をしている
この世界の生物は主に、生活方法が二種類に分かれる
片方は先程言った通りだ
もう片方は、そういった人間の生活など、文明から掛け離れた生活を送っている奴らだ
言葉も話せないし、誰であろうが襲って来る
所謂"野生"だ
形は変わらないが、見た目、臭いですぐわかる

西暦30XX年
そんな世界で今俺は殺し屋、とは言い難いが、まあ、似たようなものだ
とりあえず、今日を生きられればそれで良かった
あいつに会うまでは。
まるで昨日のことのように、鮮明に思い出せる。
そう、あいつに会ったのは、雨の降る、寒い秋のことだった・・・。
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